有川 公三 医師の経歴
1992年 | 昭和大学 医学部 | 卒 業 |
1992年 | 昭和大学病院 形成外科 | 入 局 |
1997年 | 千葉県こども病院 形成外科 | 入 局 |
1998年 | 聖マリア病院 形成外科 | 入 局 |
1999年 | 熊本機能病院 形成外科 | 副部長 |
2001年 | 昭和大学病院 形成外科 | 助 手 |
2002年 | 今給黎総合病院 形成外科 | 部 長 |
2008年 | 有川スキンクリニック | 副院長 |

ここからはまぶたのクリニックの編集部である私が、実際に医療脱毛の論文について解説していきます。
【医療脱毛】SHR(蓄熱式レーザー脱毛)とは
SHRはSuper Hair Removalの略で、日本では蓄熱式レーザー脱毛と呼ばれます。
SHR(蓄熱式レーザー脱毛)は、その名の通り蓄熱式の医療脱毛で、ダイオードレーザー照射による熱エネルギーで毛包全体を破壊して脱毛します。
結論、SHR(蓄熱式レーザー脱毛)は、以下の特性により、幅広い年齢層に受け入れられています。
特徴 | 内容 |
---|---|
対象 | 全スキンタイプ、金髪・産毛も含む |
熱方式 | 45~55℃で毛包に蓄熱 |
痛み | 軽度、麻酔不要 |
メリット | 短時間施術・低刺激・高安全性など |
ただし、SHR(蓄熱式レーザー脱毛)はインモーション照射で行うため、施術者の習熟度により施術後の効果に差が出てしまうことが注意点として挙げられます。
施術者が、照射時の注意点とコツを習得すれば、安全性の確保・満足度の高い医療脱毛を実現できるでしょう。
【医療脱毛】SHR(蓄熱式レーザー脱毛)における施術時の副作用と対策
SHR(蓄熱式レーザー脱毛)は、施術直後に以下のような副作用が起こる場合があります。
副作用の種類 | 程度・箇所 | 対策 |
---|---|---|
痛み | 熱さ・チクチクする感じ | フルエンス調整、冷却装置 |
紅斑・丘疹 | 数時間~24時間で消失 | ステロイド外用薬 |
熱傷 | 骨近傍・密毛部 | フルエンス管理、ジェル塗布 |
硬毛化 | うなじ・肩など | SHR・HR・Facialの併用照射 |
SHR(蓄熱式レーザー脱毛)による副作用は比較的経度とされていますが、副作用が発生しやすい部位・毛質があることが分かっています。
発生する確率は低いものの、硬毛化と呼ばれる重篤な副作用が起こる可能性も、日本国内での症例も確認されています。
副作用のメカニズムは解明されていませんが、SHR(蓄熱式)・HR(ショット式)・Facial(ショット式)のコンビネーション照射で症状が改善されることが分かっています。
SHR(蓄熱式レーザー脱毛)では、患者に対し効果・リスクなどについて十分に説明を行い、同意を得た上で施術を行うことが重要です。
【医療脱毛】SHR(蓄熱式レーザー脱毛)の照射手技とフルエンス設定
SHR(蓄熱式レーザー脱毛)では、ハンドピースを動かしながら連続的に照射するインモーション照射が用いられます。
低フルエンスで連続照射するため、痛み少ないなどの利点がありますが、施術者の習熟度によって効果に差が生じるため、使用する機器を慎重に選ぶ必要があります。
以下の表は、SHR(蓄熱式レーザー脱毛)で使用される3つのハンドピースの特徴を示しています。
ハンドピース名 | 波長 | 面積 | 主な用途 |
---|---|---|---|
コンパクト | 810nm | 1cm² | 狭小部位 |
スピード | 755/810/1064nm | 2cm² | 広範囲 |
クアトロ | 755/810/1064nm | 4cm² | 最大面積照射 |
SHR(蓄熱式レーザー脱毛)の施術におけるフルエンス設定については、患者の痛みを基準とします。
SHR(蓄熱式レーザー脱毛)は麻酔なしでも施術できるほど痛みの少ない脱毛方法ですが、フルエンスを決める上で大切な要素は、患者が「痛い」と感じる感覚です。
フルエンスは、以下のように段階的に設定するとよいでしょう。
- 痛みを感じない程度に調節する
- 患者が痛みを感じた場合は1~2程度フルエンス下げる
(※麻酔を行った場合は痛みを感じにくくなるため、設定には細心の注意を払う)
SHR(蓄熱式レーザー脱毛)では、施術中に患者とコミュニケーションを取ながらフルエンスを調整します。
【医療脱毛の応用技術】軟毛化・疎毛化・デザイン脱毛とは
有川公三医師は、この論文において、SHR(蓄熱式レーザー脱毛)は単純に「抜く」だけではないことを提唱しました。
施術中に軟毛・疎毛へ変化する過程に着目し、「毛の残し方」を重視した医療脱毛を実践しています。
手法名 | 特徴 | 適応部位 |
---|---|---|
軟毛化術 | 毛を細く・短くする | 生え際、うなじ、もみあげ |
疎毛化術 | 毛の密度を均一に減少する | 前腕、手背、髭 |
デザイン脱毛術 | 毛流を意識して残す | ヒゲ、VIO |
これらの応用的な医療脱毛は、毛周期・スキンタイプを選ばない、痛みが少ない、麻酔不要など、SHR(蓄熱式レーザー脱毛)の特性によって実現しています。
【医療脱毛】SHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)による“剃毛しない脱毛”の効果
前述の通り、SHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)技術の応用により、「剃毛しない脱毛」が実現しました。
以下の表は、剃毛した・しなかった場合における見た目の変化などを比較しています。
比較項目 | 剃毛あり | 剃毛なし |
---|---|---|
見た目の変化 | 急激で不自然 | 自然な印象 |
肌への刺激 | カミソリ負けのリスクがある | 最小限に抑えられる |
トラブル例 | 炎症・乾燥 | ほぼ確認されていない |
剃毛しない脱毛は、特にVIOなど、自然な毛の流れに適した箇所の施術を希望する患者に向いています。
単に毛を「抜く」のではなく「毛の残し方」を工夫できれば、患者の多様なニーズに応えられるため、レーザー脱毛に対する患者満足度の向上につながるでしょう。
【医療脱毛】SHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)が適応される特殊症例
近年、医療脱毛は低年齢化が進み、学童期の患者にSHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)の施術を行うケースも増えています。
SHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)は、カミソリ負け・日焼け・アトピー性皮膚炎などにより炎症している部位に対しても施術が可能です。
体毛が症状悪化の要因となる皮膚疾患については、治療後の再発防止を目的として、病院から脱毛の依頼を受けることも珍しくなくありません。
SHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)は、社会的に認知されている医療脱毛であり、小児の多毛症によるいじめなどを心配する保護者からの依頼が増加する傾向にあります。
学童期の子どもに施術を行う際は、フルエンスを低く設定し、声かけをしながら対応するなど、恐怖心を持たれないような配慮がなされるべきです。
【医療脱毛】SHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)における今後の課題
SHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)は、低侵襲で安全性が高く、患者の多様なニーズに対応できる医療脱毛です。
- 毛周期・スキンタイプを選ばない
- 痛みが少ない(麻酔不要)
- デザイン脱毛など、患者のニーズに柔軟に対応できる
- 皮膚疾患への照射が可能など
SHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)による「剃毛しない脱毛」の実現は、剃毛する煩わしさを解消してくれます。
ただし、インモーション照射が適切に行われないと効果に差が出るため、施術者の技術習得が重要な課題です。
SHR脱毛(蓄熱式レーザー脱毛)により、満足度の高い医療脱毛が実現されるよう、施術者は常に最新のノウハウとスキルを持って施術に臨まなくてはなりません。
また、当院では当記事で解説した論文を参考に以下の記事を公開しています。
医療脱毛に関する専門的な知識を深めるため、臨床結果・医療技術に関する具体的な事例も学び取り入れた上で、最新の研究論文・臨床試験データに基づいて信頼性の高いコンテンツの作成に努めています。
このように、当院では信頼のおける学術誌で発表された論文等を参考に、クリニック選びの実践的なアドバイス・治療内容の解説をしております。