榎堀みき子 医師の経歴
現在 | みずき皮ふ科クリニック 院長 |
2012年 | 日本レーザー治療学会誌にて「光のコンビネーション治療による肌の若返り」を執筆 |
2016年 | 全日本病院出版会 PEPARSにて「難治性肝斑の治療戦略」を執筆 |
山本理奈 医師の経歴
現在 | みずき皮ふ科クリニック 医師 |
2012年 | 日本レーザー治療学会誌にて「光のコンビネーション治療による肌の若返り」を共著 |

ここからはまぶたのクリニックのコラム編集部であり当記事の筆者である私が、他のクリニック・医師をWEBサイトで紹介している背景について説明します。
ラジオ波(RF)と光治療の組み合わせで叶える「肌の若返り」とは?
光老化によるシミ・しわ・たるみといった肌悩みに、複数の治療を組み合わせ総合的な「肌の若返り」を目指すのが、ラジオ波(RF)と光のコンビネーション治療です。
この治療法は、論文の著者らが進化させてきた「Mizuki Protocol」が基になっています。
複数の医療機器を組み合わせ、単一治療では難しい肌悩みに同時にアプローチできるのが特徴です。
その進化の過程は、以下の通りです。
年代 | 主な進化 | 目的 |
---|---|---|
2001年〜 | 複数の光治療器を組み合わせる「コンビネーション治療」を開始 | シミ・くすみ・赤みなど色調の変化に対応 |
2010年〜 | ラジオ波(RF)治療を導入 | 肌の「たるみ」改善を強化 |
2015年〜 | ピコセカンドレーザーを導入 | より専門的な色素沈着(真皮メラノサイトーシス)に対応 |
このように、光治療で色調を整えるだけでなく、2010年からはラジオ波(RF)を導入することで、肌の深層にアプローチし「たるみ」を改善できるようになりました。

本記事では、この先進的なコンビネーション治療、特にラジオ波(RF)がどのように作用するのか、論文のデータを基に詳しく解説していきます。
ラジオ波を活用した治療法「Mizuki Protocol」の全体像
論文で紹介されている「Mizuki Protocol」とは、複数の医療機器を組み合わせて、一人ひとりの肌悩みに合わせたオーダーメイドの治療を行う、独自の治療計画(プロトコル)のことです。
肌の浅い層にあるシミや赤みには「光治療」を用います。
一方、深い層にあるたるみには「ラジオ波(RF)」を使用します。
異なるターゲットに得意な機器を使い分けることで、肌へのダメージを抑え、総合的な若返り効果を目指します。
治療は主に以下の3ステップで構成されており、これらを一度の治療(約60分)で連続して行います。
ステップ | 主な目的 | 使用する主な医療機器の例 |
---|---|---|
ステップ1 | 顔全体のトーンアップ (シミ・赤み・くすみ・産毛など) | ・脱毛用レーザー ・IPL ・ロングパルスレーザー(KTP, PDL) ・Qスイッチ/ピコセカンドレーザー |
ステップ2 | 部分的な悩みへの対応 (黒子・脂漏性角化症など) | ・Qスイッチルビーレーザー ・炭酸ガスレーザー |
ステップ3 | さらなる肌質改善 (たるみ・小じわ・ハリ) | ・ラジオ波(RF)治療器 ・フラクショナルレーザー |

このプロトコルを、患者の肌の状態に合わせて4〜6週間の間隔で繰り返し行うことで、より高い効果を引き出していくのが特徴です。
ラジオ波(RF)による「たるみ」改善効果をデータから徹底解説
論文では、2010年から「Mizuki Protocol」にラジオ波(RF)治療を組み込むことで、肌の「たるみ」へのアプローチが強化されたと報告されています。
光治療は、主に肌表面の色調(シミなど)の改善を得意とします。
対してラジオ波(RF)は肌のより深い層に熱を届けます。
この熱エネルギーが真皮内のコラーゲンや皮下組織の再構築を促し、たるみを内側から引き締めるのです。
このような肌の若返りは、専門的にスキンリジュビネーションと呼ばれます。
またラジオ波(RF)治療の中には、熱により脂肪細胞アポトーシス効果を促し、部分的な引き締め効果を狙うものもあります。
このコンビネーション治療の大きな利点は、ダウンタイムを延長させることなく、シミ・しわ・たるみといった複数の悩みに同時に対応できる点です。
比較項目 | ラジオ波(RF)を追加した場合 | 光治療のみ |
---|---|---|
主な改善効果 | シミ・くすみ・赤み + たるみ | シミ・くすみ・赤み |
治療時間(目安)治療時間(目安) | 約50分 | 約30分 |
ダウンタイム | ほとんどなし(延長しない) | ほとんどなし |
論文では、2010年から「Mizuki Protocol」にラジオ波(RF)治療を組み込むことで、肌の「たるみ」へのアプローチが強化されたと報告されています。
光治療は、主に肌表面の色調(シミなど)の改善を得意とします。
対してラジオ波(RF)は、肌のより深い層に熱を届けることで真皮内のコラーゲンや皮下組織の再構築を促し、たるみを内側から引き締める効果が期待できます。
このコンビネーション治療の大きな利点は、ダウンタイムを延長させることなく、シミ・しわ・たるみといった複数の悩みに同時に対応できる点です。
このように、ラジオ波(RF)を追加することで、治療時間は少し長くなりますが、患者の負担(ダウンタイム)を増やすことなく、より包括的な肌の若返りが可能になると論文では述べられています。
ラジオ波(RF)に加えピコセカンドレーザーで治療はさらに進化
この治療法の進化は、ラジオ波(RF)の導入だけにとどまりません。
論文によると、2015年からはピコセカンドレーザーが導入され、治療の選択肢がさらに広がりました。
ピコセカンドレーザーは、従来のレーザー(Qスイッチレーザー)よりも非常に短い時間(ピコセカンド=1兆分の1秒)でレーザーを照射する技術です。
これにより、周囲の皮膚への熱ダメージを最小限に抑えながら、ターゲットとなる色素だけを効果的に破壊することが可能になりました。

特に、肌のキメを整えたり、くすみを改善したりする「スキントーニング」や、アザの一種である「真皮メラノサイトーシス」の治療において、その効果が期待されています。
比較項目 | ピコセカンドレーザー(新) | Qスイッチレーザー(従来) |
---|---|---|
主な目的 | スキントーニング、真皮メラノサイトーシス | スキントーニング、真皮メラノサイトーシス |
周囲への熱影響 | 少ない | 比較的多い |
論文での評価 | メラニン除去や肌のハリ改善において、より良好な印象 | – |
ラジオ波(RF)が「たるみ」という深い層の悩みに対応するのに対し、ピコセカンドレーザーは「色素」という、より繊細なターゲットへのアプローチを可能にします。
このように治療法を組み合わせることで、一人ひとりの悩みに、よりきめ細かく対応できるようになると考えられます。
ラジオ波(RF)と光治療で挑む「肝斑」へのアプローチ

治療が難しいとされる「肝斑」に対しても、このコンビネーション治療は有効であると論文では述べられています。
特にアジア人の肌質に適したアプローチが特徴です。
肝斑の治療では、ラジオ波(RF)によるたるみ改善と並行して、主に「光治療」と「内服薬」を組み合わせた、多角的なアプローチが取られます。
アプローチ | 具体的な方法 | 主な役割・効果 |
---|---|---|
光治療 | ・ロングパルスレーザー(KTP, PDL) ・ピコセカンドレーザーなど | ・肝斑や炎症後の色素沈着を薄くする ・血管に働きかけ、肝斑悪化の一因とされる炎症を抑える ・色素沈着のリスクを抑えながら治療可能 |
内服薬 | ・トラネキサム酸 | ・レーザー治療と並行して服用し、治療効果を高める |
論文によると、肝斑は一度改善しても治療を中断すると再発しやすいという課題があります。
しかし、このプロトコルによって、たとえ再発したとしても、治療前よりかなり薄い状態でコントロールすることが可能になると報告されています。
ラジオ波(RF)と光治療のダウンタイムは?論文が示す経過と満足度
治療を検討する上で最も気になる点の一つが、治療後の経過とダウンタイムです。
論文では、このコンビネーション治療が患者の負担が少ない治療法であることが強調されています。

ラジオ波(RF)を組み合わせてもダウンタイムが延長しない点は、特筆すべきメリットと言えるでしょう。
項目 | 論文に記載の経過 |
---|---|
ダウンタイム | ・軽度の赤みや腫れが見られるが、数時間でほぼ消失 ・施術後すぐにメイクが可能 |
効果実感 | ・初回の治療から肌の色調や肌質の改善を実感 ・治療を繰り返すことで、若返り効果がさらに向上 |
患者満足度 | ・長年にわたって継続する患者も多く、満足度は非常に高いと報告 |
論文では、16年間で20,000例以上の治療実績があると述べられており、多くの患者がその効果に満足し、継続的に治療を受けていることがうかがえます。
初回から効果を感じられ、かつダウンタイムがほとんどない点が、高い満足度に繋がっていると考えられます。
ラジオ波(RF)と光治療の安全性は?論文で報告されたリスクと管理法
論文では、このコンビネーション治療が副作用の少ない安全な治療法であると述べられていますが、考えられるリスクと、それに対する管理法についても言及されています。
治療後の主なリスクとして報告されているのは、以下の2点です。
リスクの種類 | 発生頻度 | 経過 |
---|---|---|
肝斑の悪化・強い色素沈着 | 約0.8% | 数ヶ月〜1年以内に改善 |
一時的な色素脱失 | 約0.1% | ターゲット型紫外線照射器治療により改善 |
これらのリスクはごく稀であり、発生した場合でも時間経過や追加治療によって改善すると報告されています。
また、論文では、これらのリスクを最小限に抑えるために、以下のような徹底した安全管理が行われていることが示唆されています。
- 照射方法の工夫: 皮膚を冷却しながら、レーザーの出力を低く設定し、慎重に重ねて照射する。
- 内服薬の併用: 肝斑がある場合は、トラネキサム酸を併用して治療効果を高め、リスクを低減する。
- アフターケア: 治療後は冷却やイオン導入で肌を鎮静させ、必要に応じて軟膏や創傷被覆材で保護する。
このように、医師の経験に基づいた適切なリスク管理とアフターケアによって、治療の安全性が確保されていると言えるでしょう。
ラジオ波(RF)を活用したオーダーメイド治療の重要性
この論文で一貫して示されているのは、単一の治療法に固執するのではなく、一人ひとりの肌質や悩みに合わせたオーダーメイド治療の重要性です。

ラジオ波(RF)を軸に光治療などを組み合わせることで、アジア人特有の肌の悩みに対応できると論文は結論づけています。
このように、医師が患者の状態を正確に見極め、ラジオ波(RF)をはじめとする多様な選択肢を最適に組み合わせることが、安全で満足度の高い「肌の若返り」治療の鍵となると言えるでしょう。