
朝村真一 医師の経歴
1995年 | 久留米大学医学部医学科 | 卒 業 |
1995年 | 近畿大学病院 | 研修医 |
2000年 | Northeast Ohio Medical University Colleges of Medicine | 留 学 |
2002年 | 近畿大学病院 | 講 師 |
2003年 | 近畿大学医学部形成外科 | 講 師 |
2008年 | 近畿大学医学部形成外科 | 准教授 |
2015年 | 和歌山県立医科大学形成外科 | 教 授 |
二重整形の美容医療における役割と進化
二重整形は、目元の印象を劇的に変える美容医療として多くの患者に選ばれている施術です。
元々は「目を大きく見せたい」「眠たそうな印象を改善したい」といった目的で選ばれることが多かったようです。
しかし近年では、顔全体のバランスを整える目的や、老化によるまぶたのたるみを改善する手段としても広く用いられるようになりました。
特に日本では、ナチュラル志向の強まりと共に「不自然に見えない二重ライン」が求められるようになり、施術方法やデザインの精度も大きく進化しています。
二重整形が高齢者に注目されているのはなぜか?
二重整形といえば、これまでは若年層が対象というイメージが強くありましたが、今回の論文では平均年齢73.3歳の高齢患者が中心となっており、その注目度が変わってきていることが伺えます。
加齢とともにまぶたの皮膚はたるみ、眼瞼下垂のように視界を物理的に遮ることもあります。
これにより日常生活に支障をきたし、目の疲れや肩こり、集中力の低下といった目に関係する機能的な悩みが顕在化してきます。
つまり、高齢者にとっての二重整形は「美容」のためだけではなく、健康関連QOLを向上させる医療的手段としての意味を持ち始めているのです。
若返り効果だけでなく、実用性や快適性を求めて手術を選択する高齢患者は今後さらに増えていくと予想されます。
二重整形術についての臨床研究について
二重整形に関する本論文では、和歌山医科大学の形成外科で二重整形術(上眼瞼切開術)を受けた日本人女性10名を含む24名の患者(平均年齢:73.3歳)を対象に臨床的な評価が行われました。
術後の見た目の変化、満足度、さらには第三者による顔貌印象の評価まで、包括的な分析が行われています。
本研究は、二重整形術後の「見た目の変化」「患者の主観的な満足度」「第三者の評価による顔貌の印象変化」などを定量的に測定し、エビデンスとして提示することを目的としています。
二重整形術前後の客観的評価と第三者評価
二重整形に関する本研究では、「瞼の開き具合(MRD-1)」が術前と術後でどれだけ変化したかを比較しています。
以下は、術前・術後・性別ごとに術前後でMRD-1の平均値と標準偏差を比較したものです。
対象 | 平均値(mm) | 標準偏差(SD) |
術前 | 0.48 | 0.92 |
術後(全体) | 2.44 | 0.66 |
術後(男性) | 2.45 | 0.67 |
術後(女性) | 2.55 | 0.63 |
術後のMRD-1は大幅に改善し、目元の開きがしっかりと確保されていることが数値からも明らかになっています。
二重整形による第三者から見た印象の変化とは?
二重整形に関する本研究では、単なる術前後の自覚症状だけでなく、第三者が患者の顔写真を見て評価する「見た目の印象の変化」も調査対象となっています。
評価項目には「若々しさ」「表情の明るさ」「活力の印象」などが含まれており、いずれも術後に有意な改善が見られました。
これは非常に重要なポイントであると言えます。
なぜなら、整形手術の多くは自己満足にとどまらず、対人関係や社会的印象に直結するからです。
自分自身が満足するだけでなく、周囲の人からも「若くなったね」「明るくなったね」と好意的に受け取られることで、自己肯定感の向上にもつながります。
つまり、二重整形は“顔の印象年齢”を下げる医療とも言え、印象改善による心理的・社会的メリットも、手術で得られる大きな利点の一つになっているのです。
二重整形術後の患者の主観的な症状変化
二重整形術前後で患者が感じた不快症状(眼精疲労・集中困難・肩こりなど)の自己評価に関して、スコアとして数値化することで術前後の変化を測定しました。
以下は、リッカートスケール(0=症状なし、4=非常に強い症状)で評価した結果です。
症状 | 術前スコア | 術後スコア |
眼精疲労 | 3.6 | 1.6 |
集中できない | 3.4 | 1.7 |
肩こり | 3.3 | 1.8 |
気が散る | 3.5 | 1.6 |
いずれの項目でも術後スコアが大幅に改善しており、手術が機能的な側面にも有効であることを裏付けています。
二重整形後の患者の満足度に影響する要素
二重整形に関する本論文では、術後の満足度スコアが男女で異なる傾向にあったことが報告されていますが、それだけでは説明できない要素が多くあります。
実際には、「どれだけ施術結果が事前の期待と一致していたか」が満足度を大きく左右します。
たとえば、同じように症状が改善していても、「もっとパッチリした目になりたかった」という美容面の希望が強ければ満足度が下がることもあります。
逆に、機能改善だけで十分という患者にとっては、むしろ控えめな変化の方が理想的だったというケースもあるでしょう。
また、術後の結果以上に、術前のカウンセリングの質や医師との信頼関係が満足度に影響している可能性も示唆されます。
「自分の話をしっかり聞いてくれた」「納得して手術に臨めた」というプロセスそのものが、患者が結果をどう受け止めるのかを大きく変えるのです。
二重整形術後の男女別満足度
二重整形術後の満足度についても調査が行われ、患者は5段階スケール(1=非常に満足、5=非常に不満)で評価しました。
男女間の比較結果は以下の通りです。
性別 | 満足度スコア(平均) | 標準偏差(SD) |
男性 | 2.41 | 1.02 |
女性 | 1.43 | 0.73 |
以上の結果から、女性の方がやや高い満足度を得ていたことが分かります。
ただし、標準偏差が大きいため、個人差の存在にも注意が必要です。
二重整形の安全性とリスク管理
二重整形に関する本研究では、術後3ヶ月までの追跡で重篤な合併症は報告されておらず、安全性の高い手術であることが確認されました。
軽度の内出血や腫れは一部で見られましたが、すべて一時的な症状であり、かつ軽快する傾向にありました。
術前のシミュレーション・術者の経験値・適切なアフターケアが安全性を左右するため、信頼できる医療機関を選択することが重要です。
二重整形は“感覚”ではなく“データ”で選ぶ時代に
二重整形に関する本論文のような研究が示すように、二重整形は単なる美容目的ではなく、生活の質(QOL)や心理的な満足度にも関わる医療行為と言えます。
今後、患者自身が医療的根拠に基づいて判断することが重要になってくるはずです。
科学的データを活用することで、より納得のいく選択ができ、患者にとって満足度の高い結果につながるでしょう。