【医療ダイエットに関する論文解説】肺領域における耳鍼の痩身効果について

田口辰樹 医師の経歴

田口辰樹 明治国際医療大学 鍼灸学部 鍼灸学科 准教授の経歴

2000年4月明治鍼灸大学大学院 鍼灸学研究科 鍼灸学専攻博士課程修了
2003年4月明治東洋医学院専門学校 鍼灸学科専任教員
2006年4月明治東洋医学院専門学校附属治療所 鍼灸科主任
明治東洋医学院専門学校附属治療所 鍼灸科所長
明治東洋医学院専門学校 教務課教学部長
2019年4月明治国際医療大学 鍼灸学部鍼灸学科講師
2024年4月明治国際医療大学 教務部次長
2025年4月明治国際医療大学 鍼灸学部鍼灸学科准教授
編集部

ここからはまぶたのクリニックの編集部である私が、実際に医療ダイエットの論文について解説していきます。

目次

医療ダイエットとして注目される耳鍼療法とは?

肥満が引き起こす生活習慣病として、糖尿病・高血圧・高脂血症などがあります。

肥満症の約95%を占める単純性肥満は、主に過食と運動不足が原因と考えられています。

この肥満への対処方法のひとつとして「耳鍼」療法が注目されているのをご存知ですか?

耳にはさまざまな神経領域と結びつく刺激点がありますが、特に迷走神経支配領域は痩身効果が高いとされています。

結論、耳鍼療法は食の満足感を高め、結果として食べる量が減り、肥満予防・痩身療法が期待できます。

医療ダイエット研究の対象と方法概要

対象はBMI 25以上の肥満者8名(男性7名・女性1名)で、平均年齢は34.9歳、平均BMIは31.0です。

実施期間は6週間で、週に1回、耳鍼の施術を行います。

具体的な方法としては、迷走神経支配領域である「肺領域」に対し、探測器(旭物療器研究所;HANDひびき-7号低周波耳通電治療体耳点シグナルテスター)を使用して電気抵抗が減弱している部位を探し、そこを鍼刺激点とします。

片側に円皮鍼(セイリン;パイオネックス:長さ0.6mm)を週1回の頻度で合計6回留置しました。

また、空腹感が生じた時には留置した円皮鍼に圧迫刺激を加えるよう指導しました。

研究対象者の基本情報は以下の通りです。(平均±標準偏差)

項目数値
年齢34.9±5.1歳
身長170.8±1.8cm
体重90.3±4.2kg
BMI31.0±1.2kg/㎡

医療ダイエットとしての耳鍼による体重変化

耳鍼前後の体重変化を見ると、体重が減少した人と増加した人に分かれました。

体重減少群が6名、体重増加群が2名です。

体重の変化量は、減少群で-0.8±0.4kg、増加群で+0.2±0.1kgでした。

減少群のうち0.5kg以上体重が減ったのは6人中4人でした。

人数(比率)体重変化(平均±標準偏差)(kg)
減少群6名(75%)-0.8±0.4
増加群2名(25%)+0.2±0.1

医療ダイエットの効果指標としての体組成の変化

体重以外の項目で耳鍼前後の違いを比べてみました。

BMI内臓脂肪体脂肪率・筋肉量に有意差はありませんでした。

項目減少群増加群
内臓脂肪レベル-0.5(0.5)±0(1)
体脂肪率(%)-0.7(0.3)-0.3(0.4)
基礎代謝(kcal)+7(8.8)+10.5(10.6)
筋肉量(%)+0.1(0.3)+0.4(0.2)

医療ダイエットにおける耳鍼の食行動への影響

アンケート内容から耳鍼前後で食行動の変化があったか、減少群、増加群ごとにまとめます。

以下の通り、耳鍼の刺激の効果として、4~6割の被験者に何らかの食生活の変化が認められました。

項目減少群(人)増加群(人)
食事量が減った41
空腹までの時間が延びた41
圧迫刺激による空腹感の抑制41
間食が減少30

医療ダイエットがもたらす精神状態の改善効果

精神的ストレス、不安感、イライラ感について施術前後の変化をVASを用いて評価を行いました。

それぞれについて値を比べると、施術後に減少傾向がみられました。

医療ダイエット耳鍼後の精神状態の改善グラフ

医療ダイエットの効果を左右する心理・行動因子

普段から自分の体重に関してどのような認識を持っていたかを確認すると、減少群においては大変気になるというものが3名だったが、増加群では0名でした。

自己の体重に対する意識が高いほど効果が出やすい傾向がみられます。

医療ダイエットに臨む被験者の体重認識

「ストレスにより食事量・回数が増える」と答えた人は8名中5名でした。

体重増減の結果には、耳鍼の圧迫刺激回数の違いや、刺激の感受性の違いという個人差も影響していた可能性が高いです。

医療ダイエットにおける耳鍼の役割と限界

今回の研究対象では、明確な体重減少は限定的でした。

一方で食事量の減少や、精神面の安定といった変化が見られました。

耳鍼は減量の動機付けや、ダイエット中のイライラを抑制する補助的な治療手段として有望といえます。

鍼治療のみで改善を図るのではなく、栄養管理や運動療法との併用が理想的なアプローチといえるでしょう。

まぶたのクリニック編集部
美容医療の知識を持ち、施術内容や患者の疑問点を分かりやすく伝えることを専門とする。カウンセリングや施術に関わる医療従事者としての視点から、美容整形に関する実際の体験談や正しい情報を提供。リスクや注意点についても正確に伝え、読者が安心して美容医療を選択できるようサポート。
備考
  • 国家資格保有
  • 美容医療に関する実務経験あり
  • まぶたのクリニックにて施術サポート業務担当
  • 最新の美容医療情報に基づき記事執筆
  • 患者目線の分かりやすいコラムを執筆
まぶたのクリニック編集部のボックスのあしらい まぶたのクリニック編集部のボックスのあしらい
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