【医療ダイエットの論文解説】GIP/GLP-1受容体作動薬の驚くべき体重減少効果とは?最新臨床データから徹底解説!

川浪 大治 医師の経歴
編集部

ここからはまぶたのクリニックのコラム編集部であり当記事の筆者である私が、他のクリニック・医師をWEBサイトで紹介している背景について説明します。

目次

医療ダイエットにおける体重減少作用で注目されるGIP/GLP-1受容体作動薬とは何か?

編集部

結論、GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)は優れた体重減少作用があり、今後の肥満症治療に大きく寄与する可能性があります。

チルゼパチドは1つの分子で、GIPとGLP-1の両方の受容体を刺激することができ、従来の薬よりも強力な血糖降下作用体重減少作用が得られます。

編集部

肥満症や2型糖尿病に対する医療ダイエットの新たな治療選択肢として注目されているのが、GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド」です。

作用部位具体的な作用得られる効果
膵臓(β細胞)GIP/GLP-1受容体刺激 → インスリン分泌促進(血糖依存的)血糖値の正常化
中枢神経(視床下部)満腹中枢の刺激 → 食欲を抑制食事量の減少
脂肪組織脂質代謝の促進・脂肪分解体脂肪の減少
骨格筋・肝臓エネルギー消費の促進基礎代謝の向上

本記事では、これまで行われた大規模臨床試験の結果を解説しながら、チルゼパチドの有効性について明らかにしていきます。

医療ダイエットにおいて体重減少作用が報告されたSURPASSプログラム(糖尿病患者対象)

編集部

チルゼパチドの体重減少作用が最初に注目されたのは、2型糖尿病患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験「SURPASSプログラム」です。

臨床試験SURPASS-1では、血糖値を下げる効果を検証するのと同時に、副次評価項目として体重減少作用についても報告されています。

以下の表は、チルゼパチドを週1回、所定の量(5 mg 群/10 mg 群/15 mg群)を投与した場合の40週目の体重変化です。

投与量平均体重変化
5mg-7.0kg
10mg-7.8kg
15mg-9.5kg
プラセボ(チルゼパチド未投与)-0.7kg

チルゼパチドを投与した群で、明らかに体重減少作用が認められます。

また、投与量が多いほど体重減少作用も大きくなっていることが分かります。

医療ダイエットにおいて体重減少作用を主目的とした臨床試験SURMOUNT(非糖尿病患者対象)

前述のSURPASSプログラムでは、副次評価項目として、チルゼパチドの顕著な体重減少作用が認められました。

編集部

これを受けて、抗肥満症薬としての有効性を検証する目的で、体重変化を主要評価項目としたSURMOUNTプログラムが実施されました。

今回の試験では糖尿病ではない肥満者(BMI 30 kg/m2以上、あるいは、BMI 27 kg/m2以上で肥満関連の健康障害を有する人)が対象です。

チルゼパチド週1回投与(5mg群/10mg群/15mg群)とプラセボ群で、投与72週目の体重変化を表にまとめました。

投与量平均体重変化率
5mg-15.0%
10mg-19.5%
15mg-20.9%
プラセボ(未投与)-3.1%

チルゼパチドの投与量が多いほど、体重減少作用が大きくなっています。

また、チルゼパチドを投与された対象者の85〜91%が、5%以上の体重低下を達成しました。

編集部

2型糖尿病の肥満患者に対する臨床試験(SURMOUNT-2)の結果は以下の通りです。

投与量平均体重変化率
10mg-12.8%
15mg-14.7%
プラセボ(チルゼパチド未投与)-3.2%

2 型糖尿病の肥満患者は、2型糖尿病でない肥満患者と比較して体重が減少しにくいとされていますが、試験結果から有意な体重減少作用が認められました。

編集部

これらの試験結果に基づき、米国では米国食品医薬品局(FDA)の承認を受け,チルゼパチドは販売名「Zepbound ®」という名称で肥満症治療薬として実際に臨床現場で使用されています。

医療ダイエットにおける投与中止による体重減少の停滞と再増加

編集部

SURMOUNT-4試験では、チルゼパチド投与の中断による体重への影響についても検証されています。

チルゼパチドを週1回投与した群を途中の36週目で2つに分け、片方は継続投与、片方はプラセボに切り替えます。

チルゼパチド投与を継続した群では、引き続き体重減少作用が持続し、体重減少率は開始時点を0%として36週目で-20.9%、88週目では-25.8%と順調に減少しています。

それに対し、プラセボ投与に切り替えた群では、36週目で-20.9%の減少率だったのが、徐々に増えはじめ、88週目では-9.5%に悪化しています。

チルゼパチドの中断による体重への影響

引用元:薬局 76巻5号 (2025年4月発行) 臨床データからみるGIP/GLP-1受容体作動薬の多面的作用② 体重減少作用

また、投与88週目で体重変化率-5%以下を維持できていた対象者の割合は、以下の表の通りで、体重減少作用を維持するにはチルゼパチドの継続的な投与が重要であることが示唆されています。

体重低下キープ者の割合
継続群98.5%
中断群69.0%

医療ダイエットでの体重減少作用の日本人に対する有効性

チルゼパチドは、グローバル試験でその効果が証明されてきましたが、日本人を対象とした臨床試験でも有効性と安全性が確認されています。

編集部

日本人で2型糖尿病がある人を対象とした国内第Ⅲ相試験SURPASS J-monoで、副次評価項目としてチルゼパチドの体重減少作用が評価されたので、結果を報告します。

投与量体重変化量
チルゼパチド投与 5mg-5.8kg
チルゼパチド投与 10mg-8.5kg
チルゼパチド投与 15mg-10.7kg
デュラグルチド投与-0.5kg
編集部

比較対象としたGLP-1受容体作動薬のデュラグルチドでは体重変化がほとんど見られないのに対し、チルゼパチドでは有意な体重減少が見られ、投与量に比例して体重変化量も大きくなりました。

また試験のサブ解析にて、チルゼパチド投与による体重減少が主に脂肪組織の減少によるものであることが報告されています。

編集部

これらの試験結果から、日本人の肥満症に対する治療薬としての有効性が認められ,2024年12月に厚生労働省より販売名「ゼップバウンド ®」として製造販売の承認がおりました。

今後は日本でも米国同様に肥満症治療への臨床利用が期待されます。

医療ダイエットの体重減少作用に関して既存薬(GLP-1受容体作動薬)との比較

肥満症や2型糖尿病の治療において、これまでは、GLP-1受容体作動薬が優れた体重減少作用で知られていました。

特にセマグルチドは、日本でも2024年2月に抗肥満症薬として承認され、臨床応用が始まっています。

セマグルチドは、商品名として「リベルサス」「オゼンピック」「ウゴービ」などがあり、2型糖尿病や肥満症の治療薬として使用されています。

編集部

一方で、GIPとGLP-1の両受容体に作用するチルゼパチドは、GLP-1受容体作動薬(セマグルチド)を上回る体重減少作用が期待されています。

比較項目チルゼパチドセマグルチド
分類GIP/GLP-1受容体作動薬(デュアル)GLP-1受容体作動薬(単一)
主な作用食欲抑制+脂肪代謝促進+エネルギー消費促進食欲抑制中心
投与量(週1回)5〜15mg(最大)最大2.4mg(ウゴービ®)
臨床効果より強力な体重減少作用高いがチルゼパチドに劣る可能性
国内承認マンジャロ ®(2023年4月に糖尿病治療薬として承認)
ゼップバウンド®(2024年12月に肥満症治療薬として承認)
ウゴービ®(2024年2月に抗肥満症薬として承認)
編集部

現在進行中のSURMOUNT-5試験では、チルゼパチド(最大15mg)とセマグルチド(最大2.4mg)の直接比較がされており、結果報告が待たれています。

医療ダイエットにおけるGIP/GLP-1受容体作動薬の肥満症治療における新たな選択肢としての可能性

GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)は優れた体重減少作用があり、今後の肥満症治療に変革をもたらす可能性があります。

肥満治療といえば、生活習慣指導(運動・食事両方)や外科的手術(減量手術)だったのに対して、適切な服薬指導で科学的根拠に基づく長期的な管理が可能になる可能性があります。

しかし、食欲抑制作用が強すぎると、特に高齢者では低栄養やサルコペニア(筋肉量の減少)のリスクが高まるため、症例ごとに注意が必要です。

編集部

薬物療法単体ではなく、ライフスタイル改善・運動療法・心理的サポートとの組み合わせによる包括的治療の一環として、チルゼパチドはこれからの肥満医療を大きく変えていく可能性があります。

また、当院では当記事で解説した論文を参考に、美容医療の専門家が以下の記事を公開しています。

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まぶたのクリニック編集部
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佐野 優子
高校時代、体調を崩した母のために栄養を学びながら食事を作った経験をきっかけに、管理栄養士を志す。栄養の力で人の健康が支えられることを実感し、専門的な知識を深める道へ。介護関連の企業にて管理栄養士として勤務(2021年〜2024年)。調理・盛り付けなどの現場業務から、献立作成・発注管理・商品の発送手配・利用者への栄養相談まで、多岐にわたる業務に携わる。現在はフリーランスとして、保育園給食の献立作成や、食事記録に基づく栄養アドバイスの作成を中心に活動。医学的根拠に基づいたアドバイスを通じて、リバウンドのリスク・健康への影響についても正確に伝え、読者が安心して医療ダイエットに取り組めるよう当記事を監修しています。
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  • 国家資格保有
  • 医療ダイエット・美容医療に関する栄養指導の実務経験あり
  • 現場業務・栄養相談・献立作成など幅広く担当
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  • 保育園給食や食事記録に基づく栄養アドバイスなども手がける
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